要約 百成ら (2016)

茨城県北浦の沖帯から沿岸帯におけるヌマチチブ仔稚魚の生息場所利用と食性

百成渉・柴田真生・加納光樹・碓井星二・金子誠也・佐野光彦

 

要約 茨城県北浦の沖帯から沿岸帯でヌマチチブ仔稚魚の分布と移動および食性を調査した.孵化後数日以内の上屈前仔魚は沖帯の表中層に分散し,浮遊期稚魚は沖帯の底層に集群した.着底期から底生期の稚魚は沖帯から沿岸帯へと移動した.接岸移動に伴い,稚魚の主要な餌は動物プランクトンから底生性餌料へと変化した.沿岸帯での底生期稚魚の個体数密度と各環境要因との関係を一般化線形モデルで解析したところ,ヨシ根元のえぐれの奥行と泥分が上位モデルで選択され,本種の底生期稚魚の成育場としてヨシ帯が重要であることが示された.

日本水産学会誌, 82: 2-11.2016年1月