要約 Nakane et al. (2009)

Predation pressure for a juvenile fish on an exposed sandy beach: comparison among beach types using tethering experiments.
Nakane Y, Suda Y, Hayakawa Y, Ohtomi J, Sano M.

開放的な砂浜海岸の稚魚に対する捕食圧:糸つなぎ実験を用いた砂浜タイプ間での比較
中根幸則・須田有輔・早川康博・大富 潤・佐野光彦

 

要約 砂浜域は海岸地形の違いに基づき,反射型,逸散型,および中間型という3つのタイプに分類できる.これまで,中間型だけにあるラネル(潮溜まり)は,稚魚によって捕食者からの避難場として利用されていると考えられてきた.しかし,それを実証した研究はなかった.そこで本研究では,鹿児島県吹上浜において,まず糸つなぎ実験(捕食圧実験)により稚魚の生残率を調査した.この実験では,本調査地おいて優占種であるシロギスの稚魚を糸でつなぎ,反射型,逸散型,中間型のラネル内に設置して,捕食されなかった個体数から砂浜タイプごとに生残率を算出した.実験の結果,生残率はタイプ間で違いが認められなかった.次に,潜水観察により捕食者(魚食魚)の個体数密度をタイプ間で比較したところ,どのタイプにも同程度の捕食者が存在することが明らかとなった.以上のことから,ラネルは捕食者からの避難場になっていない場合もあることが判明した.

La Mer, 46: 109-115. 2009年4月.



nakane

nakane itotunagi